高校卒業「程度」って、どのていど? 具体的にどこまで勉強すればいいの?
高校3年分の勉強を一気に覚えなければいけない?
高等学校卒業程度認定試験とは、高校を卒業した人と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。
と言われても、何をどこまで勉強すればいいのかわかりませんよね。
特に近年は出題範囲の変更や新しい科目の追加などが相次いでおり、初めて受験する方はもちろん、とくに一度勉強から遠ざかってしまった方にとっては分かりづらいと思います。
この記事ではそんな疑問にお答えし、どこからどこまでを勉強すれば安心できるのか、具体的に解説します。
高認試験の出題範囲は何年生まで?
先に結論:目安としては1年生〜2年生が習う範囲。ただし、厳密には「何年生の範囲」とは言えないので、勉強する際には注意が必要。
いきなりふわっとした結論になってしまいましたね。
ご安心ください、キチンと具体的に解説していきます。
出題範囲は“科目”単位で決まっている。
たとえば高校で「国語」の授業をする場合、「現代の国語」、「言語文化」、「倫理国語」、「文学国語」……などなど、さまざまな科目に分かれています。
そして、どの科目を何年生で習うのかは、大まかにきまっているものの、学校ごとに異なるのです。
そのため、厳密には「出題範囲=何年生までの範囲」と言い切ることができないのです。
「でも、要は高校1年生〜2年生の範囲で勉強すればいいってことでしょ?」と、思うかもしれません。
しかし、出題範囲が科目で決まっているという前提で学習を進めることで、勉強の効率や得点力の向上を期待できます。
このことについては、このページの中の「過去問や問題集が当てにならないことがある」と、「実際に勉強するにあたって」で解説していきます。
過去問や問題集が当てにならないことがある
数年前までの高認試験は出題範囲がパターン化されており、過去問や参考書をやりこむだけで、ある程度の点数を取れるようになっていました。
しかし近年、出題範囲の変更や新しい科目の追加が相次いでいます。
その影響で、参考書を作る会社にも出題傾向のデータが蓄積されていないのか、出題範囲の予想が大きく外れていたという声がSNSなどで多くみられます。
この記事を書いている私も、某人気ワークブックと過去問を参考に勉強をしていましたが、多くの科目で出題範囲や出題形式が異なっていたという経験をしました。とくに英語と数学が範囲・形式ともに大きく外れており、試験会場で「初めて見る問題なんだが???」と軽く混乱してしまいました。幸い、試験には合格できましたが、少々点数を落としてしまいました。
そして、高認試験にも合格成績という概念があります。一般入試をする場合は関係がないとされているようですが、推薦入試や選抜型入試など、一部のケースでは合格成績が評価される場合もあるようです。
また、一部の審査が必要な奨学金は、学業の成績を審査基準としています。
例として、JASSO(日本学生支援機構)が主催する制度のうち、給付奨学金(返済不要)の場合は高卒認定試験の合格者というだけで学力基準を満たせるようですが、海外留学支援制度(学部学位取得型)は、合格成績を審査の対象にしているようです。進学や留学にあたって奨学金制度の利用を検討している方は、好成績で合格することを心がけた方が良いでしょう。
具体的な出題範囲は?
以下の表に、文部科学省が定義している出題範囲の科目をまとめました。
例えば国語であれば、「現代の国語」と「言語文化」の教科書の範囲から出題される、という意味になりますね。
試験科目 | 出題範囲 |
---|---|
国語 | 「現代の国語」「言語文化」※古文・漢文を含む |
地理 | 「地理総合」 |
歴史 | 「歴史総合」 |
公共 | 「公共」 |
数学 | 「数学Ⅰ」 |
科学と人間生活 | 「科学と人間生活」 |
物理基礎 | 「物理基礎」 |
化学基礎 | 「化学基礎」 |
生物基礎 | 「生物基礎」 |
地学基礎 | 「地学基礎」 |
英語 | 「英語コミュニケーションⅠ」 |
効率的な進め方
極論として、対象の科目の教科書の内容を全て覚えれば良いのですが、大変ですし、効率が悪いですよね。
かといって、参考書の内容も絶対ではありませんので、参考書のみを頼りにしていると、筆者のように試験で初めて見る問題で得点を落とすことになります。
そこで提案ですが、高得点を狙う場合、あるいは苦手科目の点数を少しでも上げたい場合は、参考書などに加えて教科書を流し読みをしたり、無料で利用できる学習サイトや動画サービスを併用して、学習範囲のカバーを行うことをオススメします。
教科書について
すでに教科書を持っている方はともかく、そうでない方は教科書をわざわざ入手するのは面倒ですし、お金がかかりますよね。
しかし、図書館、教育センター、教科書センターなど自治体の施設で教科書を閲覧できる場合がありますので、お住まいの自治体に該当する施設があるか、お調べいただくと良いのではないでしょうか。
例えば、文京区の教育資料室・教科書センターでは「小・中学校、高等学校及び特別支援学校用教科書(令和6年度使用各教科書目録に登載されているもの。なお、一部展示していない教科書あり)」が閲覧できるとのことです。
なお、自治体や施設の蔵書の有無や閲覧可否に左右されますので、確実な方法ではないことをご了承ください。
無料で利用できる学習サイト
インターネット上の学習サイトで特にお勧めしたいのがTry-itです。これは家庭教師のトライが無料で公開しているサービスで、イラストを交えて分かりやすく解説している他、動画の講義も無料で閲覧できます。
高校の範囲に加えて中学生の範囲も復習可能です。筆者自身も実際に試験対策で利用しましたが、わかりやすく大変助かりました。
他にも、ベネッセが運営する『定期テスト対策サイト』も活用できます。こちらは動画講義はありませんが、細かく要点を整理したテキストが特長です。「【助動詞】mustとhave toの違い」など、間違えやすいポイントを単元ごとにわかりやすく解説しているため、参考書では曖昧だった知識を明確に理解するのに役立ちます。
またYouTubeなどの動画サイトで「数学Ⅰ」などと科目名で検索すれば、必要なテーマに絞った解説動画が多数見つかります。自分に合った動画講師を探してみるのも良いでしょう。
効率化のポイント
全てを覚える必要はありません。流し読みをして「とりあえず全部読んだ」「〇〇という言葉について、なんとなく覚えた」というレベルで構いません。そうすれば試験会場で「初めて見る言葉が出題された!」と慌てることはなくなります。
さらに言えば、狭い範囲を完璧に仕上げるよりも、広い範囲を大まかに把握した方が勉強の効率は格段に上がります。
例えば、歴史の流れを知らずに年号を正確に暗記するのは難しいですが、
というように、ざっくりの流れと要所の年号だけ押さえておけば、「廃藩置県は1868年より後だな」とか、「戊辰戦争は、大政奉還と明治維新の間に起こったはずだな」と予想ができるようになるはずです。丸暗記よりは簡単ですね。
高認試験はマークシート方式で出題されますので、細かく正確な暗記よりも、全体の流れを理解する方が有利です。
また、この勉強方法は高認試験に限らず、今後の人生で何か他の勉強をする際にも役立つやり方ですので、他の機会があればぜひ試してみてください。
まとめ
- 高校卒業程度認定試験の出題範囲は、目安としては高校1年生〜2年生と同じくらいの範囲に相当する。
- 厳密には、何年生という範囲ではなく“科目”で範囲が決まっている。
- 出題範囲を正確に把握することで、高得点や苦手科目の点数アップを狙うことができる。
まとめると、こういった整理になります。すこしでも参考になれば幸いです。
皆さんが試験に無事、合格されることを応援しています。